STEP 01:強いデッキを「そのまま使う」コピーの極意

解説・考察

ポケモンカードを始めたばかりの頃、誰しも一度は「自分なりのデッキを作りたい」と思う。手持ちのカードを並べて、好きなポケモンを軸にして、独自の戦術を考える。それはカードゲームの楽しみの本質だ。

しかし、その気持ちを一旦保留してほしい。

このサイトの最初のSTEPで伝えたいのは、「強いデッキを、採用枚数まで完コピして使う」という、一見すると面白みのない、しかし最も効率のいい上達の入り口だ。

なぜ「コピー」から始めるべきなのか

環境上位にいるデッキは、何百人、何千人ものプレイヤーが大会で結果を出し、回し続け、削り続けてきた集合知の結晶だ。1枚の枚数の違い、1枚のピン挿しの選択、すべてに膨大な試行回数の裏付けがある。

これに対して、始めたばかりのプレイヤーが「自分なりに考えた60枚」は、どれだけ時間をかけて作ったとしても、試行回数が圧倒的に足りない。デッキ構築は思考実験だけでは完結しない。実戦で初めて見える穴がある。

「自分で考えた60枚」と「環境デッキを完コピした60枚」を持って大会に出ると、ほぼ100%後者の方が勝率は高い。これは才能や努力の話ではなく、単純に試行回数の差だ。

ここで重要なのは、完コピは「自分で考えない」ことではないということ。むしろ、優秀なレシピを通して「考え方の型」を学ぶための、最も近道なのだ。

「採用枚数まで」が本当に大事

中途半端なコピーは、コピーではない。たとえば、強いデッキレシピを見たときに「このカードは持ってないから、似た役割の別カードで代用しよう」「この枚数は多すぎる気がするから3枚に減らそう」と判断するのは、まだ早い。

実際にこういうケースは多い。たとえばドラパルトexデッキで「ボスの指令4枚は多すぎる、自分はそんなに引かないから2枚でいい」と判断したプレイヤーが、いざ対戦してみると終盤でボスの指令を引けずに負ける、というパターン。これは枚数を減らした判断が悪いのではなく、減らせる根拠を持っていなかったことが問題だ。

採用枚数の判断ができるようになるのはSTEP 02(理解)以降。最初は、提示されたレシピを疑わずに信じて回す。

完コピしてもすぐ勝てるわけではない

ここで注意したいのは、完コピしても初戦から勝てるとは限らないということだ。

強いデッキには「強い回し方」がある。サイドプランの組み立て方、対面別の優先順位、リスクを取る場面とそうでない場面の判断。これらは60枚の中には書いていない。レシピだけ手に入れても、運転免許を取っただけで一流のドライバーになれないのと同じだ。

だから、完コピしたデッキで負け続けることは、まったく恥ずかしいことではない。むしろ、「このレシピで負けたのは自分のプレイのせいだ」と原因を一点に絞れるのは、大きなアドバンテージだ。デッキの問題か、プレイの問題か、その区別がつくだけで成長速度は跳ね上がる。

どのデッキをコピーするべきか

「とりあえず環境1位のデッキを使えばいい」というのは、半分正しくて半分間違いだ。

選ぶときの基準は3つある。

第一に、シンプルに動けるデッキを選ぶこと。複雑な分岐や読み合いが少なく、基本的なプランが明確なデッキの方が、コピー段階では学びが深い。複雑なデッキは、回し方を間違えて「デッキが悪い」と勘違いする原因になりやすい。

第二に、現環境のTier 1〜2に位置しているデッキを選ぶこと。Tier 3以下のデッキは、勝てない理由が「デッキの限界」なのか「自分の腕」なのか判別がつかない。

第三に、自分が握っていて楽しいデッキであること。これは軽視されがちだが、結局のところモチベーションが続かないと回し込みもできない。動かしていて飽きないデッキを選ぶ。

コピー段階の卒業条件

このSTEP 01をいつ「卒業」するか。それは、コピーしたデッキで安定して勝率5割を超えたときだと考えている。

ここで言う5割は、本気で参加する大会・自主大会・ジムバトルでの数値だ。フリー対戦の5割では基準にならない。本番の緊張感の中で、相手も真剣に組んできたデッキを相手に5割勝てるなら、レシピを「使える」レベルには到達している。

そこに到達したら、次のSTEPに進む準備ができている。

まとめ

  • 上達の最短ルートは、強いデッキを採用枚数まで完コピして使うこと
  • 採用枚数を勝手にいじるのは、判断できる根拠を持ってから
  • 負けた原因がプレイにあるか、デッキにあるかを切り分けられるのがコピーの最大の利点
  • 大会・ジムバトルで安定5割勝てるようになったらSTEP 02へ

オリジナリティは、コピーを経験してから初めて意味を持つ。まずは素直に、強いレシピを借りて、回し込もう。それは恥ずかしいことでも、面白くないことでもない。ヒーローへの道の最初の一歩として、最も合理的な選択だ。

次の記事では、そのコピーしたデッキを「なぜこの60枚なのか」自分の言葉で説明できるようになる、理解のSTEPについて掘り下げる。